基礎知識

アメ車に大きい鳥のマーク!ポンティアックトランザムの歴史を紐解いていきます

「アメ車に鳥のマーク」といえば、ボンネットに鳥のマークが大きく描かれたクルマを思い浮かべることでしょう。

あの車は「ポンティアック・トランザム」と言って、70年代を代表するアメ車なんですが、なんであそこまで大きな鳥のマークが描かれているのか気になりませんか?

今回は、トランザムのに大きく描かれた「鳥のマーク(フードバード)」についてまとめてみました。

この記事では「鳥のマーク」の誕生秘話を詳しく解説していますので、しっかりと読んでみてくださいね。

それでは早速みていきましょう!

ポンティアック・トランザムとは?

アメ車に大きな鳥のマークが描かれているポンティアック・トランザムの正式名称は、「ポンティアック・ファイアーバード・トランザム」(ゼネラルモーターズ社)と言います。

トランザムというのは、「ファイアーバード」というクルマの最上位グレードに与えられたネーミングで、これを表すために鳥のマークが描かれているということですね。

鳥のマークの起源はアメリカ先住民の守り神

ゼネラルモーターズ社のブランドネームだった「ポンティアック」は、実在していたアメリカ原住民の酋長(しゅうちょう:部族を代表する最高位の長老)の名に由来しています。

彼ら原住民が守り神として崇めていた火の鳥(ファイアーバード)が、クルマの車名となるのも自然な流れですね。

実はファイアーバードに鳥のマークが使われ始めたのは、1969年に最上級グレードが発売されるよりはるか以前のことでした。

しかしそれは、ボディー後部の「Firebird」の文字の脇に小さく添えられた、メタル製のピンバッジのようなものだったんです。

さらにこの頃の鳥のマークは水平に広げた両翼から、まるで洗濯物が干されているかのように、だらりと羽が垂れ下がるデザインで、それはいつからか「Sick Chicken(病んだニワトリ)」と呼ばれるようになります。

鳥のマークが大きくなったわけ

「Sick Chicken」という不名誉な名称を一新したのが、1968年にファイアーバードのチーフデザイナーとなったビル・ポーター(Bill Porter)氏。

1969年に最上級グレードが発売されることが決まると、彼はこの鳥のマークを「勝利」のシンボルに変えたいと思ったそうです

ある日、趣味で集めていたティファニーの花瓶に描かれた力強い曲線が、彼の目にとまりました。

それをスケッチしたメモを片手に、社内のグラフィックデザイナーに話をもちかけると、翼を高く掲げ、口から火を吹く力強いデザインとなったそうです。

一方で、トランザムには「シェーカースクープ」という、ボンネット上に突き出た吸気口が追加されることが決まっていました。

しかし、チーフデザイナーのビルは、シェーカースクープは、トランザムの流れるフォルムを台無しにしてしまうと感じたんですね。

そこで彼は、大きな鳥が高く挙げた翼でこの突起を包み込むデザインにすれば、シェーカースクープを目立たなくできるのではないか?と思い立ちます。

鳥のマークに危機が迫る!?

ある日、工房の実物大模型に大きな鳥のマークを描いて検証していた現場を、ひとりの経営幹部に見られてしまいます。

「なんだこれは!すぐに消せ!」とその経営幹部は激怒。

その結果、初代トランザムの「鳥のマーク」は、ボンネットの鼻先に追いやられ、8.5インチ(約21cm)の小鳥になってしまったんです。。

それでも、ビルの上司でもあったジョン・シネラ(John Schinella)氏は、ビルのアイデアがユーザー受けすることを信じ、彼の味方として社内で粘り強く根回しを続けたんですね。

その甲斐もあって、経営陣から「73年型トランザム以降、オプション仕様に限り、大きな鳥のマークを採用しても良い」という約束を取り付けることに成功します。

そして、いよいよ73年型トランザムが発売開始されると、ユーザーのオプション希望が殺到。

オプション仕様だったはずの「大きな鳥のマーク」は、ついにトランザムの代名詞「ファイヤーバード」への道を歩み始めることになったということです。

[スポンサーリンク]

いまトランザムを入手するなら?

ところで、今この時代にトランザムを入手してみたいと思われる方もおられるかもしれませんね。

ですが、既に40年以上が経ち、中古車のタマ数自体がほとんどないため、価格を表示している場合でも「修復歴あり/状態不明」で500万円以上、大抵は「価格応談」となっています。

  • 整備や部品交換を自分でできる相応の腕前と、整備工場のメカニックと対等に渡り合える知識がある
  • トランザムが大好きで惜しみなく時間とお金を注ぎこめることができる

と、いう自信がある方ならば、根気よく探してみるのもアリかもしれませんよ!

[スポンサーリンク]

まとめ

アメ車に鳥のマークで有名なポンティアック・トランザムについてその歴史をみてきました。

大きな鳥のマークには、開発に加わったデザイナー達のクルマへの想いと、会社上層部との葛藤の物語があったわけですが、商品開発にハードルはつきものですね。